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絶滅期に生き残った生物とその生き方に学ぶ
地球上に生命が誕生してから40億年過ぎ、現在までに5回の生命の大絶滅期があったといわれている。そして現在、新たに大量絶滅が進行していると、数理生態学の吉村仁教授が述べている。高い人口密度、効率のよい野生動物狩り、人間に都合のいい環境づくりなど、人類が環境に圧力をかけることで、過去に比べて1,000倍から10,000倍という破壊的な率で絶滅種が増えているのだそうだ。
流通業は、その形が生まれてからまだ100年強である。その間、百貨店の時代や流通革命が生み出したチェーンストア時代などを経て、現在ネット販売が急成長している。一般店舗小売業と、百貨店、チェーンストアをリアルビジネス、ネットや通販をバーチャルビジネスと、業界では分けている。しかし、リアル店舗ビジネスはもう、絶滅期に入っているように見える。
情報インフラと技術、流通システムと交通環境の著しい進歩により、生産者からダイレクトに消費者に商品が届くようになった。そのシェアの進捗は目覚しく、百貨店の売上を超えるまでになった。これまでもGMSやコンビニエンスストアなどのビジネスが急成長をしたが、いずれも店舗小売業という同じ土俵の上での変化である。今、店舗から離れ始めたオンラインビジネスは次に消費者が生産に参加する形に進化していくであろう。
そうなるとこれまでの店舗をベースにして、単に仲介の労をとってきた店舗小売業はその存在意味を失い大絶滅にいたることが予測される。人間のライフサイクルは短いため絶滅サイクルに入っても危機感は薄い。しかし、オンラインビジネスの拡大は、確実にこれまでの小売業の生存基盤を奪っていくことになろう。
過去、地球の絶滅期には90〜95%の種類や固体が滅びたが、各絶滅期を生き残った生物の特性と生き残り戦略には共通したものがある。それはその時の一番強い生物や大きい生物でなかったこと、そして共生という生き方を選んだことである。
単細胞生物の群体にはじまり、多数の共生により個の組織が新しい機能や器官をつくり進化する。そして新しい環境に順応する進化を続けることで生き残ってきた。高等動物が受精から一成体になるプロセスで、細胞がそれぞれの役割を担い、手や足、目や耳に成形していく様も、個々の細胞が生き残るための共生、協力の結果から生まれた形らしい。
さらには、個の生態は他の生態と共生関係を作りあげ、果実と動物や鳥、花と昆虫といった驚異ともいえる関係作りは、外界の変化による不安定な生存環境からいかに生き残るかのそれぞれの戦略である。
小売業の中でも、このような生存戦略は見受けられる。個々の店がバラバラにあるのでは外部環境や外敵に対して抵抗力が弱い。そこで各店は一ヶ所に集まり商店街をつくった。多様なカテゴリーを一ヶ所に集めることで百貨店やGMSは競争力を高め成長してきた。ショッピングセンターもその共生戦略の延長線上にある多様な機能を組合わせることで進化してきたのだ。
今、日本の流通業は更なる過酷な環境が待ち受けている。経済のひっ迫に増税、人口の減少、オンラインビジネスの拡大などである。当然、オフラインビジネスとしてのこれまでの店舗小売業は新たなる共生の形を進めていかねばならない。
物販とサービス、それぞれの共同体としての店舗の有機的な情報やサービスの共有、それを広げてショッピングセンターと地域コミュニティーとの便利で快適な暮らし方を創出する等々である。これまでのような企業間での規模の競争や個の利益の追求だけでは、自らが絶滅の憂き目を見なければならなくなる。
そんな意味で国内で広がっている人とのつながりや絆を、観念としてだけでなく日々の暮らしやビジネスの機能としてつくりあげていく時代なのである。
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