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マーケットアイ
2009年12月号
 有限の経済考

半眼の経営
経営改革を論じる時、「一歩先では早すぎるから半歩先でいこう」とタイミングが問題になることが多い。また、「問題はわかったが、どこから手を付けて良いのかわからない」ともよく聞く。
これらを論じている人は、問題は感じているが、わかってはいない人である。もし戦略レベルの問題なら、 打つ手は一歩先では遅いが、戦術的な手は半歩先でもよいだろう。しかし、戦略的視点の展望と布石がないまま戦術的な手をうっても、効果は生まれないだろう。
そして、 どこから手をつけるべきかを悩む人は、その問題の構造をとらえていないから手のつけようがないのだ。「わかっているけど難しいです」とは「よくわかってません」と聞こえる。
そんなことより、今の営業成績を上げようと、相変わらず何十年も前にやってきた成功事例を焼き直したセール合戦の連続では、業界の疲弊をすすめるだけである。資金的余力のある大手ならまだしも、中小までそれに引き込まれたら、自殺行為そのものである。
そんな行動は全眼視行(目玉を大きく開け、小さなチャンスでも何でも取込もうとする無思考の行為)である。その対極は瞑想(目をつぶり宇宙まで広げんばかりの思考方)だが、これでは現業から離れ過ぎてしまうだろう。
そこで必要なのは「半眼視考 」である。現実を見ながら、その本質やその先にくるであろう世界を見通す、大仏様の目である。戦略的には一歩先を、打つ手は半歩先を、この間の取り方が状況打開のつぼである。全眼で今のことだけに奔走する業界に、危機を感じざるを得ない。。
流通革命による副作用
大量生産、大量販売、 画一化、分業化、システム化などによる流通革命は、産業革命の思想とシステムを流通につなげていったものである。複雑になっている現市場でも、チェーンストアは基本的にこの思想を上に経営をしている。
これにより、製造過程、流通過程は飛躍的に効率があがり、生活者は良いものが安く買えるという恩恵を大いに享受してきた。しかし、物事には必ず表裏があり、メリットは次のデメリットを生む。
大量生産、大量販売の思想は当然、マスボリュームマーケットを対象とする。常に増収増益を義務付けられる株式会社は、一番取り組みやすい量と価格で売上の拡大を追求する。それらチェーン店同士の量と価格の競争は、次第に激化していく。
そして、NB商品の7掛けの価格を設定できるPB商品の拡大に向かう。商品開発や広告宣伝にコストをかけないPBの価格は、NBを駆逐していく。
だが、PBをつくる小売業には商品開発機能がないため、商品の開発回転スピードが落ち、何年も前の商品を売り続けることになる。トップ数社で6〜7割のシェアをしめる欧州のスーパーでは、生活を改善するための提案商品がほとんどでてこない、という業界現象が生じている。
ここに第二の流通革命が起きるマグマがたまっている。その切り口は、以下である。
1. ニッチマーケット対応のPBでその分やの一番になる。
2. 8掛けマーチャンダイジング + 常に新しい企画を出せる体質づくり
3. テーマ インテグレーション マーチャンダイジング
求められる生活テーマに対し、商品、情報、使用コーチ、参加などトータルで満足させる
新しいマーケット開発を目指した革命的な動きが必要になるだろう。

マーケティングキーワード
●ハッピープロデューサー
  ・ハッピーメーカー
  ・ハッピーリテイラー
  ・ハッピープランナー
  ・ハッピーセールス
そのモノを買う、使う、食べる……、すべて最後にハッピーにな気分につながらないものは捨てられる存在になる。
●ライフ リアル マーケティング
  ・着ていて心地良い、気分が良い
  ・使って快適、元気が出る
  ・食べると身体が元気になる、遺伝子が喜ぶ
衣料、生活用品、食品すべて、生命が感じれれ、生命に対して手応えのあるもの。
●地球コンセプトの実践
  ・環境を意識している
  ・社会貢献につながっている
  ・人間を大切にしている

業態の出現
池袋に出店した『LABI1日本総本店池袋』は家電の総合品揃えに加えて、CD、おもちゃ、ブランドディスカウント、カメラ、ホームシアター、書籍、日用品、酒、美容と健康、ドラッグ、ドライ食品、レストランなど、正染織品とファッション以外は何でも揃えたGMSになっている。
現市場の傾向であるハレ、見栄の消費の落ち込みがこれ以上続くと、これまでの百貨店は成り立たなくなってくる。そうなれば、立地と規模を活かすこのマーチャンダイジングは、一つの業態モデルになる。
私はこの業態をDGGMS(ドライグッズGMS)と呼びたい。生鮮食品やファッションのように腐ることのない商品だけを、価格訴求して総合品揃えする業態だ。
これまでのGMSは、衣食住のハードグッズから鮮度で売る食品やファッションのソフトグッズまで総合的にあつかってきた。しかし、ドライグッズの総合ストアやショッピングセンターができれば、その部分の競争力が失われる。
現GMSは、 DGGMSと正面から戦うのか、逆に腐るものを中心に品揃えやMDを強化する業態にするのか、いずれもその選択を迫られるようになろう。

何でもできなければ専門家ではなくなる
何でも対応し、全体を掌握するゼネラリストに対し、ある特定の分野の知識と情報、技術を持つスペシャリストと呼んできた。スペシャリストには、その人の特定の分野以外のことを要求しないというのが、日本の暗黙の了解知であった。
しかし、コスト削減や業務のスピードアップなどが求められるようになると、一つの目的を達成するために多数の人や機能を使うことは、コストアップとスピードダウンになる。そこで、目標達成のための業務を、一人の専門家にゆだねることになり、担当専門家は一人ですべてをこなさなければならない状況になっている。

デザイナーはデザイン、パターン、サンプルづくりへの指導はもちろん、価格や納期管理までするようになっている。
スタイリストは協力企業からサンプルを借り、思うようなものがなければ私物を提供し、それでも足りなければ自分で手づくりする。ミシンが踏め、小物が作れなければスタイリストにはなれない。
企画プランナーは、コンセプトプラン、実施、生産や工事協力者まで、すべてをコーディネートできなければ仕事にならない。
スペシャリストとは、スーパースペシャリストのことを言うようになったのだ。
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